株式会社PassionPlanets（パッションプラネッツ）代表取締役矢内綾乃が見た成層圏の景色とは②

矢内綾乃Ayano Yanai
座右の銘：「人は豊かで自由な存在だ」

＜経歴＞
1977年生まれ　群馬県富岡市出身
1993年　淑徳与野高校に在学
1996年　北海道大学応用物理学
2000年　北海道大学大学院量子物理工学数理物理工学
大学院卒業後、株式会社日本電気 (NEC) 半導体事業部最先端技術開発グループに入社。
2014年、株式会社PassionPlanets 代表取締役就任。エンジニア・一般職のフリーランス準委任契約事業、個人コーチング、レンタルスペース事業。
2016年、株式会社UCHIAGE 代表取締役就任。経営コンサルティング、店舗立ち上げコンサルティング、独立支援等。
2017年、社団法人NEWSPOの名誉顧問に就任。
2019年、エシカルグッズとオーガニック専門店 natural style BIO SOPRA Tokyoをオープン。
2022年、宇宙サービス事業開始
2024年7月有料職業紹介事業（予定）、労働者派遣事業（予定）

2010年〜2017年にかけて、社会人スポーツ団体の立ち上げに関わり、数百人規模の大会を開催するまでに成長させる。スポーツコミュニティ作りの実績を打ち立てる。
現在は、社団法人NEWSPOの名誉顧問を務めながら、『自然とともにあるライフスタイル』を広めるためにatural style BIO SOPRA Tokyo のECサイトの販路拡大を進めると共に、各事業体の経営者となる人材の育成に力を入れている。
本事業では、下記のSDGs開発項目を推進している。
SDGs5：ジェンダー平等を実現しよう
SDGs11：住み続けられるまちづくりを
SDGs12：つくる責任、つかう責任
SDGs13：気候変動に具体的な対策を
SDGs17：パートナーシップで目標を達成しよう
その他、エンジニア支援、人材支援、宇宙サービス事業でも、夢を形にすべく邁進中。

また、それぞれの道のプロフェッショナルを特集した「覚悟の瞬間」の中から、49名のドキュメンタリーをまとめた書籍「覚悟の瞬間 Selection」の41番目を飾る。協力的なパートナーに恵まれ、2児のママであり、あやのファミリーの大黒柱として奮闘中の女性経営者。

マッハの体験

前回、成層圏へ行くためにMIG戦闘機に乗るところまで伺いました。
実際に乗った時はどんな感じでしたか？

まずは、メディカルチェックをしました。
多くの人がMIG戦闘機に乗るだけでG（地球の重力）がかかると思っていて「重力がかかるのは大変ですか」とか言われるんですけど、ただ単に飛行に乗るだけだったらGはかからないんですよね。

でないと、旅客機乗った人みんな大変なことになっちゃいますもんね笑

たしかにそうですね。

実は、メディカルチェックも普通に「血圧正常か」や「熱ないのか」などの確認しかないんです。

戦闘機だからといって特別なことはなく、一般的な検査だけなんですね。

では、ここから実際に宇宙の入り口である成層圏へ行くにあたり、MIG戦闘機に乗られたときの感想を伺いたいと思います。

まずオプションで、
・ループ (宙返り)
・ドッグファイト（敵を捉えるために機動しながら行う空中戦闘）の技術
・エルロン・ロール（直進しながら左または右方向に360度ロールすること）
などなど体験したんですが、そのような横Gや旋回Gが、一番きついんです。

有名な映画の「トップガン」を見たらでてくるような技ですね。

まさに映画の世界ですね。
ただ、なかなか体験しないとGのイメージが沸かないです…

分かりやすく言うと、男性だと7.2Gくらいまでかかっているで、
四方八方から7倍の力で押されているような感じですね。

かなりの力ですね。笑
マッハの体験についてもお伺いしてもよろしいでしょうか？

マッハに関しては、想像よりGは感じないです。

物理が好きな人は分かると思いますが、まさに「等加速度運動」です。
新幹線などもそうですが、ある一定の加速で進んでいる時はGを感じないんですよね。

マッハだと感じた時は、Gの強さなど体感ではないんです。

目の前にあるタコメーターがマッハ表示しているのを見て、今音速を超えた「マッハ」の時なんだと感じました。

非常にリアルな話ですね。

景色を見てても、地球から何十キロメートルも離れているので、ほぼ変化はないんです。
これもタコメーターを見て判断していました。

ちなみに「マッハ」というと音速に等しい速度だと思うんですが、音は消えたんですか？

音の話ですね。
私も昔、有名な起業家がMIG戦闘機で成層圏に行った話を聞きました。

その時に、「音速を超えるとシーンと音が消える」って言っていたんです。
ですから、私もとても楽しみにしていました。

ただ、実際はどうだったか、というと、、、行ってからのお楽しみに！ということで(^^)

これは体験された方しか分からない真実ですね。笑

そうなんです。笑

地球を見て感じたこと

では、MIG戦闘機から地球を見た時の景色や感じたことを伺っても良いですか？

地球の端が丸く見えて、キラキラ輝いていました。
その周りは、真っ暗な宇宙が広がっていました。

そこで感じたのが、地球は本当になにもない空間に浮かんでるんだということです。

そんな浮かんでいる地球に人がくっついているんだというのを実感しました。

うわ〜。実際に地球を外から見て感じるのは凄い体験ですね。

あとは、私は会社員から独立をしたので会社員時代のことも思い出しました。

外から地球を見た時に、家と会社は本当に些細な距離なんです。
今思えば、それだけで人生が終わるのではなく、たくさんの場所へ旅行したり、人と出会ったり、挑戦して、経験してきて良かったと感じます。

私達が蟻を見た時に、このくらいの距離でも大変なんだと感じると思います。
それと同じように、外から地球を見たらそんな大したことないことも多いんです。

例えば、引っ越しで尻込みしたり、少し嫌なことがあるとへこんだりしませんか。
中にいると小さなチャレンジでも、諦めてしまうこともあると思います。

私はそういうのはもったいないなと感じます。
可能性は無限大にあり、可能性を止めるのは本人でしかないなというのを地球を見ながら感じました。
おおごとだと思うか、瑣末ごとだと思うか、何と何を比較するかは、選択することができるのです。
人や現象をどうみて、どう解釈して、どういう感情を自分に味わわせるかは自分が選択しています。
人生は選択ですからね。

たしかにそうですね。
私もちょっとしたことで悩まずに大きな目標に向かって挑戦していきます。

では、最後に宇宙事業への思いをお伺いしたいです。

宇宙事業への思い

1969年7月に人類で初めて月面に着陸したというニュースがありました。
私もテレビで見て、非常に衝撃を受けました。人類で、初めてですからね。

そこから、宇宙戦艦ヤマトやガンダム、スター・ウォーズ、ドラえもんに関しても宇宙ものが増えてきたんですよね。それから地球はワンワールド(世界は一つ)で、宇宙人が地球に攻めてくる系の話も沢山映画化されました。

言われてみればそうですね！

人類のパラダイムシフト(従来の世界観が新しいものに転換すること)が起こった瞬間だったのかなと感じました。
その時に、宇宙に憧れを持ち始めました。

そうだったんですね。

前回のインタービューの際に、お父様と「宇宙に行く約束を守らないのか」というやり取りを何度もしたと伺いました。

そうなんです笑
NEC社員になった時に、田舎っぺが大企業の本社に入社して、しかも先端技術開発職に就いて褒められると思っていました。お母さんは喜んでくれたが、お父さんは「約束破るんか」と何度も言われ続けました。

逆に私が「企業に入って一生懸命に働くのだって凄いことなんだよ」と言って、宇宙飛行士か起業を勧めていた父親に対して「普通がいいんだって！」と怒るような会話を3年くらいしてました。笑

実際にMIG戦闘機で成層圏まで行かれた時は報告したんですか？

MIG戦闘機で地球を外から見に行った時、父親はこの世にはいませんでした。

お父さんが毎年、手書きの年賀状を送ってくれていたんですが、
晩年の一番最後に送ってきてくれた年賀状を持ってMIG戦闘機に乗りました。

夢叶えたというよりは、”父親との約束を守り抜けた”ということのほうが私にとっては嬉しかったです。

とても感動的なお話ですね。

夢は必ず、願い、チャレンジし続ければ叶うんだという証にもなったと思います。

叶えやすい夢ではなく、大きい夢を叶えたからこそ、可能性はあると皆に伝えたいです。
これが宇宙事業への思いの一つです。

あと地球を見て感じたことが、外から見ると国境がないのがよく分かるんです。

宇宙旅行で宇宙に行く人が増えれば増えるほど、世界は一つだというのを体験で知る人が増えると思います。百聞は一見にしかずですね。
そんなワンワールドを感じたら、戦争も減るのかなと思ってます。
それから、一人一人が地球の一員だということをもっと自覚して、地球環境の問題解決も前進させると信じています。

地球環境や世界平和にもつながるんですね。

私も地球を見たくなりました。
本当に貴重なお話をありがとうございました。

【宇宙がすぐそこ！】ロシア発民間人がMIG戦闘機で行く成層圏旅行の動画